オランダの旅

2000年8月

                  オランダ・アンネの家を訪ねて

 みなさんはオランダというとどんなことを連想されるでしょうか。風車、チューリップ…。私がこの夏オランダに行ったのは、ヨーロッパで一人旅できる手頃な国はどこだろうかと思ったのが始まりでしたが、授業でも取り上げているアンネ・フランクの隠れ家を見たかったというものあったでしょうか。さて、アンネ達8人の隠れ家はアムステルダムの町中に今も当時のままで残っています(200年前の建物が当たり前に使われているオランダでは当然!?)。世界中からたくさんの人が来ており、私は40分ほど並んで見学することができました。狭い3階建ての建物を仕切って部屋を作り、約2年間ナチス・ドイツの目から隠れていたのですが、一歩も外にはでられない、昼間は音もたてられない中でよくぞ…と思いました。危険を顧みずアンネ達ユダヤ人に食料などを届け続けたオランダ人の存在も忘れることはできません。オランダの人たちはナチス・ドイツへの抵抗組織をつくり、1941年には「ユダヤ人狩り」に抗議する大規模なストライキを起こしました。アムステルダム市内にはオランダ女王がナチスと闘った市民に贈った「白い塔の碑」、大ストライキを記念する「労働者の像」、命がけでユダヤ人を助けたオランダ人への感謝をあらわすために、世界中のユダヤ人のカンパで作られた「正義の人への感謝の碑」などがあります。アンネ一家が住んでいた建物も、父親がアンネのために日記帳を買った本屋もそのままです。
 オランダは「自由と独立」の国です。アフリカ系の人達をたくさん見かけますが、難民や移民を積極的に受け入れているからでしょうし、国の出入りが自由だからでしょう。国土の4分の1が海面下にあるほど平らで、工業と貿易を中心にしながら農業もしっかり行われ、食糧は完全に自給できています。
 鉄道がとてもよく発達し、日常生活はもちろん旅をするのにも便利です。日本ではあまり見かけなくなった、大きなリュックを背負って旅をする若者達にたくさん出会います。アムステルダム市内はトラム(路面電車)が走り、日常の足としてよく利用されています。自転車が人々の足として定着し、道路には車道と歩道の間に自転車道があります。地球温暖化防止のために国をあげて自転車を奨励しているのです。自動販売機やコンビニもありません。働く人が大切にされているのです。
 オランダは四国程度の広さに多彩な中身を持っています。日欄交流500年、天皇も今年訪問しました。戦時中の賠償問題も残っています。一度出かけてみては。